いび茶の風土

気象

揖斐川町の気象は、平年値で年平均気温15.2℃、年間降水量2,491mm、年日照時間は1,873.0時間です。
気温は8月の最高気温が36.5℃と高いものの、近年では暖冬の影響もありますが、平成17年に記録的な積雪を記録し枝折れ等の大きな被害が発生したように、冬季の降雪量、梅雨・秋雨の降水量ともに県内の他地域に比べ比較的多いやや冷涼な地域です。

いび茶の茶畑

土壌

茶園は、地区の三方を山麓に囲まれ(北部:東ノ山(標高349.57m)、西部:西ノ山(標高404.5m)、東部:城ヶ峰(標高351.58m))、その山麓地帯から東西へ向かって緩傾斜をなす扇状地上に広がっています。土質はカオリン系が主で、土性は礫層、砂質土壌型であり、保水性に劣るため水田には適さず、戦前から茶園等としての利用が専らでした。

水利

圃場(ほじょう)で農薬希釈等に使用する水は、谷水(湧水)の他、地区中央を流れる1級河川桂川、地区西部を流れる飛鳥川用水より取水灌漑しています。
平成9年度に東ノ山トンネル湧水を利用したスプリンクラー灌水施設(1.1ha)を整備し、散水氷結法による防霜施設として利用しています。
茶工場で使用する水は、井戸水(年1回以上、公定法により水質検査を実施)を使用(排水については、マニュアルを定め、残渣の流出が無いよう、廃水枡や網を設置し定期的に清掃)しています。

いび茶の風土

市場

揖斐川町は、岐阜県の西部に位置し、岐阜市から約20km、大垣市から約18kmと、車で30分前後の交通の利便性の高い立地条件下の都市近郊型農村地域です。生産された荒茶は、JAなどを通じて販売しており、その仕向先は県外向けが約6割、県内向けが約4割です。また、その多くは相対取引にて販売し、一部を揖斐川町にある美濃茶流通センターに上場し入札販売しています。 販売された荒茶は、他産地の茶葉と混合され製茶・販売されるとともに、地元の茶商により製茶され「美濃いび茶」として販売される他、当組合産茶葉100%を使用した「美濃いび茶ペットボトル」を平成19年7月よりJA全農岐阜が販売しています。

また、組合産茶のPRと朝市での販売活動を行ってきた、組合員の若奥さんで構成するKCL(桂茶レディース)が中心となり、平成18年10月に「合同会社いび茶の里」が設立され、直売所を拠点に、100%組合産の茶を県内外へ販売し、ホームページの開設とインターネット通販により全国へ「美濃いび茶」のPRを行っています。

いび茶の風土
いび茶の風土
合同会社いび茶の里

その他

産地化に向けた取り組みについては、昭和43年度第一次農業構造改善事業、昭和53年度第二次農業構造改善事業により大型共同製茶施設を導入したほか、平成7年度には消費者ニーズを踏まえ新たに碾茶(てんちゃ)加工施設を整備し生産アイテムの拡大を図った。
また、茶園整備については、霜害回避のための防霜ファンを設置したほか、将来の機械化への対応を見据え、組合員一丸となった畝方向、畝幅の統一化、全国に先駆けた50m区画の圃場整備や共用作業道の設置など、専用集団茶園が整備されました。
注)2021年1月現在 479,548.0㎡

大型共同製茶施設
大型共同製茶施設

平成3年には、一層の作業の効率化・省力化を図るため、県下で始めて乗用型摘採機2台が導入され、その後も機械導入が急速に進んでおり、乗用型摘採機導入茶園は地区の8割を超え、県下で最も機械化が進んだ地域であり、省力化とともに機械による正確な刈高調整により、刈取り生葉の品質向上にも寄与しています。

乗用型摘採機
乗用型摘採機